私たちの身の回りにある洋服や食べ物、ゲーム機などの機械、お薬などの多くは、海外からはるばるやってきたものです。
また、日本からもさまざまな品物が海外に運ばれています。四方を海で囲まれた日本では、輸出や輸入の主役は船を使った海上輸送です。
そこで活躍するのがコンテナ船。コンテナ船でどのような品物が、どこから運ばれているのか、世界を旅する気分で調べてみましょう。自由研究にも役立ちますよ!
この記事は、コンテナ海運会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)が、自由研究のテーマ紹介などが充実した小中学生向けサイト「学研キッズネット」とタイアップしてつくりました。
学研キッズネットの自由研究プロジェクトコーナーでは、海上輸送やコンテナをテーマとした調べ学習「身近なものは世界のどこから、どう届く?」の記事も公開中です。その記事からは、航路や海上輸送のメリットなどをまとめるのに便利なワークシートもダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
(※航路データは2025年現在のものです)
世界の輸送で重要な役割を担う海上輸送には、どんなよい点があるでしょうか?
船を利用すると、一度に多くのものを運べます。例えば、2万個のコンテナをのせられる船1せきで、ジャンボ貨物機約1800機、貨物列車約8000両分もの荷物を運べます。同じ量を運ぶなら、船で運んだ方が費用を安くすることができます。
また、その場合、航空機やトラックなどに比べて燃料も少なくてすむので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などを出す量をおさえられます。さらに、コンテナ船なら、さまざまなものを同じサイズのコンテナに入れて効率的に運ぶことができます。
では、さっそく身の回りのものがコンテナで運ばれてくるルートを調べてみましょう。
※出典:おしごとはくぶつかん>おしごと年鑑>貿易量の99%以上を船が運んでいるのはどうして?(一般社団法人日本船主協会)
豆知識① 世界6位、あやつるコンテナ200万個
ONEは世界120か国以上を船で結び、くらしや産業に必要なあらゆるものを運んでいます。
165以上の定期航路と、260隻をこえるコンテナ船と約200万個のコンテナを運用、コンテナを運ぶ量は世界第6位を誇ります。
身の回りのものの中でも、まさに自分の体にくっついているほど身近なものが洋服です。
洋服などの衣料品は、95%以上が輸入品です。輸入先はアジア各地が多く、そのほかに、イタリアなどからも輸入されています。日本が輸入する衣料品の半分近くは中国からですが、生産地はアジア全体に広がってきています。例えば、ベトナムは日本の大手アパレルチェーンの工場が進出していることもあり、中国に次ぐ輸入先となっています。
※出典:経済産業省「繊維産地におけるサプライチェーン強靱化に向けた対応について(令和6年10月)」
豆知識② コンテナ船にもある時刻表
バスや飛行機のように、コンテナ船にも「時刻表」があります。
出発や到着は曜日で書いてあり、例えば、ベトナムと日本を7日間で結ぶ航路なら「ベトナムを月曜日に出発」「日本に翌週の月曜に到着」「日本を月曜日のうちに出発」といった情報が書いてあります。
フルーツ(くだもの)は、種類によって主要な産地がさまざまで、世界各地からやってきます。
ニュージーランド産のキウイフルーツは太平洋を縦断して、南アメリカのエクアドル産のバナナは太平洋を横断して運ばれてきます。同じく南アメリカのアルゼンチンでとれたレモンは、東へ向かってアフリカ大陸の南端を回るルートを通り、はるばる日本までやってくるのです。
スーパーなどでこれらのフルーツを見かけたら、コンテナ船での長旅をねぎらってあげてください。
フルーツ以外でも、チョコレートの原料のカカオは、アフリカのガーナなどから。
コーヒー豆は、ブラジルやグアテマラなど、中央アメリカ・南アメリカの国々から運ばれてきます。
豆知識③ 直行便がなければ積みかえて
コンテナ船の航路は日本を通るルートばかりではありません。
輸入先から日本までの直行便がないこともあります。日本への直行便がない場合は、どこかの港で日本まで行く船に積みかえます。これをトランシップといいます。世界各地からの船が行き交う重要な場所にあるシンガポールは、トランシップがさかんに行われる代表的な港のひとつです。
唐揚げやハンバーグなど、毎日の食卓に欠かせないお肉も、コンテナ船に乗って世界各地からやってきます。
農畜産業振興機構の資料によると、お肉の輸入割合は、牛肉60%、豚肉51%、鶏肉35%。
主な輸入先は、牛肉がオーストラリアとアメリカのツートップで、豚肉はアメリカ、カナダ、スペイン、メキシコなど、鶏肉はブラジル、次いでタイとなっています。
国産のお肉だけでなく、海外からも多くのお肉が運ばれてきているおかげで、私たちの食卓やレストランなどのメニューが、バラエティに富んだものになっているのですね。
※出典:農畜産業振興機構【令和5年度食料需給表・食料自給率について】
豆知識④ 新鮮なまま運べるリーファーコンテナ
お肉は産地にもよりますが、10日から最大50日ほどかけて日本まで運ばれてきます。
その間、新鮮さを保つために、冷凍庫の中と同じ状態で運ぶことができるのが、リーファーコンテナです。コンテナ船には、リーファーコンテナ用に電源がとれるスペースがあります。お肉のほかにも、温度管理が必要な品物は、リーファーコンテナでの輸送が適しています。
輸入品の「機械」には、パソコンや家電、その部品など、さまざまなものが含まれます。
アジアにはスマートフォンやゲーム機などの組み立て工場がたくさんあり、完成品が日本に運ばれてきます。「白物家電」と呼ばれる冷蔵庫・洗濯機・エアコン・掃除機などはタイからも輸入されています。
その他にも、マレーシアやフィリピン、ベトナムなどのアジアの各地から届いています。
豆知識⑤ コンテナ船に大切な「バランス」と「計画性」
大きさや見た目が同じコンテナでも、中に積む品物によって重さがちがいます。
コンテナ船が安全に航海するためには、船の前後と左右で重さのバランスがとれるように考えてコンテナを積まなければなりません。また、コンテナの積み下ろしを効率よく行うためには、どの港でどのコンテナを積み、どのコンテナを下ろすか、順番も考えなければなりません。そのためには、とても複雑で細かい計画が必要なのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
私たちの生活が世界中の国々とどんなふうにつながっているのか、発見や驚きがあったでしょうか?
毎日着ている洋服、食卓に並ぶ食べ物、そして使っている機械の多くが、コンテナ船に乗って遠い国から日本に運ばれてきているんですね。
また、コンテナ船輸送には、荷物の種類に合わせて温度を管理したり、船のバランスを考えて積んだり、効率よく積み下ろしをするための細かい計画を立てるなど、たくさんの工夫がありましたね。
この自由研究が終わっても、スーパーで買いものをしているとき、服をたたんでいるとき、「これはどこから運ばれて来たのかな?」と考えてみてください。そして、世界のどこかを旅しているカラフルなコンテナたちのことを、ときどき思い出してくれると嬉しいです。
Webサイト「コンテナワールド」には、海運やコンテナ船のひみつを楽しく学べるページが、まだまだたくさんあります。いつでも遊びに来てくださいね。
それでは、みなさんの自由研究が、すてきなものになりますように!
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