世界中の港や街角で見かける、カラフルで大きな金属の箱、それが「コンテナ」です。中には、食べ物や服、ゲーム機など、わたしたちの暮らしに欠かせないモノがたくさん入っています。たとえば、朝に食べたバナナ、昨日履いていたスニーカー、あなたの目の前にあるパソコンやモニターも。どれもコンテナに入って、海を越えてやってきたモノかもしれません。
私たちの暮らしと深くつながっているコンテナですが、注目されることは少なく、まだまだ知られていない秘密がたくさんあります。そんな世界を旅する「はこ」のひみつを一緒に見ていきましょう。
これを読めば、きっとあなたも誰かにコンテナのことを話したくなるはずです。
インターネットも電話もなかった、ずっと昔から、船は世界中へモノを運んでいました。当時の港では、荷物は手作りの木箱や袋、たるなどに入れられて、形も大きさもバラバラ。まるでオーダーメイドのように、ひとつひとつ人の手で積み下ろしていたのです。これでは時間も手間もかかるうえ、中身がこわれたり、人が怪我をすることもありました。
こうした問題を解決するために、1950年代のアメリカで生まれたのが「コンテナ輸送のしくみ」です。貨物をいちいち積み替えず、同じ箱ごと運べたらいいのに――そんなアイデアのもと、コンテナを使って運ぶというしくみが、世界中へ広がっていきました。積載効率も、スピードも、安全性も、すべてが大きく向上し、ここから、世界の物流と経済は大きく変わり始めたのです。
コンテナが世界中で使われる最大の理由のひとつは、その「規格化された設計」にあります。
コンテナは国際標準化機構(ISO)の規格に基づいて専用の工場で作られています。鋼材のパーツを溶接しながらコンテナの形に組み立て、マゼンタ色に塗られたら、ONEのロゴも描かれます。その後、厳しい検査に合格すると、世界中で活躍する「はこ」としてデビューします。
コンテナの代表的なサイズは20フィート(TEU)と40フィート(FEU)*の2種類です。
これらは高さ、幅、長さが統一されており、どの国の港や船であっても互換性をもって取り扱えるよう設計されています。また、コンテナは港で中身を積み替えることなく、そのままトラックや鉄道に載せて運ぶことができるため、「規格の統一」によるメリットは、海上輸送だけでなく陸送にまで及びます。
40フィートコンテナは、ハイキューブと呼ばれる高さが2,896mmのものが主流です
*TEUとFEUはコンテナをかぞえる単位です。
20フィートコンテナをTEU=Twenty-foot Equivalent Unit。
40フィートコンテナはFEU=Forty-foot Equivalent Unitとかぞえ、1FEU は2TEU に換算することもできます。
世界中の港や船会社では、このTEUやFEUを使って、コンテナの数を記録しています。
クイズ : 6FEUをTEUに換算するといくつでしょうか? (答えはページの最後に)
サイズだけでなく、構造にも工夫がつまっています。コンテナの天井や壁は鋼板でできていて、波型のコルゲート状に加工することで、強い力にも耐えられるようになっています。庫内の床材には主に合板が用いられ、重たいフォークリフトが中に入って作業しても大丈夫。ドア部分には複数のロックバーとゴムパッキンがついていて、コンテナを密閉しているので、悪天候でも水が中に入ることはありません。
また、コンテナには水性塗料が使われていて、においが少なく、空気を汚しにくいのが特長です。こうした塗料を使うことで、環境への負担も減らせるよう工夫されているんですよ。
さらに、コンテナの四隅には、「コーナーキャスティング」と呼ばれる金属の出っ張りがあり、ガントリークレーンでの吊り上げや、コンテナ同士がレゴブロックのように積み重なるための重要な役目を果たしています。
一見シンプルな箱に見えますが、いくつもの工夫と世界共通のルールのおかげで、世界中の物流と経済を支える特別な「はこ」になったのです。
ここからは、ONEの頼もしい仲間たちを紹介します!普通の箱型だけでなく、貨物や用途に応じて、コンテナにはいろんな種類があるんです。あなたの推しコンテナをぜひ見つけてください。
🟦ドライコンテナ(Dry Container)
見かけたらハッピーになれるマゼンタ色。いちばん汎用性が高く、あらゆる貨物の輸送に使用されます。電子機器、衣類、食料品、家具など、温度管理の必要がない貨物であればこのタイプが主流です。
内部はシンプルな構造ですが、そのぶん積載効率が高く、自由度もあり、世界中のモノを安全に運ぶために欠かせません。ONEでも圧倒的1番人気のコンテナです。
❄️☃ リーファーコンテナ(Reefer Container)
冷蔵・冷凍機能を備えた白いコンテナ。ONEではマイナス25度からプラス30度までの温度維持に対応しています。電源につなげば、輸送中も一定の温度・湿度を保つことができるため、生鮮食品や医薬品、ワインなど品質管理が求められる製品の輸送に適しています。
コンテナ庫内の酸素濃度をコントロールして、野菜や果物の鮮度を保ったまま輸送できるCAコンテナ*や、
IoT技術と連携し、輸送中の庫内を監視できるモデル(CONTAINER+)等、ユニークな機能を持ったモデルも登場しています。ドライコンテナに次いで出番が多いのも、このリーファーコンテナです。
🏗️ オープントップコンテナ/フラットラックコンテナ(Open Top/Flat Rack Container)
このレアコンテナを見かけたら、いいことがあるかも。高さや幅の制限がある一般的なコンテナに対し、屋根や壁を持たない特殊な構造で、サイズの大きな機材や長さのあるモノの輸送で活躍します。
安全基準を守れば、コンテナからはみ出して運ぶことも可能なんです。クレーンなどを用いて上部や側面から積み下ろしできるため、プラントの設備や大型車両などの輸送にも利用されています。
私の推しはこのフラットラック。大きくて重たいモノを運ぶパワフルな姿に、いつも元気を貰っています。
おまけ🛢️ タンクコンテナ(Tank Container)
ステンレス製の丸いタンクを、丈夫な鋼のフレームで囲んだ、液体や気体の輸送に特化したコンテナです。化学薬品、オイル、飲料、ガス類などを安全に運ぶことができますが、ONEではタンクコンテナを持っていません。
というのも、タンクコンテナは一度使うと、ほとんどの場合、同じ種類のモノをずっと運び続ける必要があるからです。中に残った成分が、別のモノと混ざらないようにするためなんですよ。
そのため、多くのお客さんは、自分たち専用のタンクコンテナを使って輸送しています。もちろん、お客さんのコンテナであっても、ISO規格に沿っていれば、ONEのコンテナと一緒に世界中へ届けられています。
このように、多様な貨物に対応するために、サイズや構造のルールを守りながらコンテナは進化し続けています。コンテナのサイズをもっと詳しく知りたい!という方のために、ONEのホームページでご紹介しています。 (コンテナ概要)
今回は、世界を旅する「はこ」のひみつ、をご紹介しました。
共通のルールを守って作られたコンテナは、船に乗っていろいろな国を旅しながら、何年も何度も繰り返し大切に使われます。
たとえば、中国の工場で作られたゲーム機を積んだコンテナがアメリカへ。アメリカでゲーム機をおろしたあとは、とうもろこしの缶詰を積んで日本へ……というように、コンテナは世界中を巡りながら、人とモノをつないでいるのです。
世界のどこかで作られたモノが、コンテナに乗って海を越え、今日もあなたのもとに届いている。
こんなワクワクするお話、秘密にしておくのはもったいないですよね。でも、もう“ひみつ”じゃないので、今度はあなたが、このお話を誰かに届けてくれたらうれしいです。
~もっと知りたいことが出てきたら、コンテナワールドで答えを探してみよう💡~
- 船にコンテナを安全にたくさん積載するための工夫とは?
- ONEは環境にやさしい海上輸送を目指しているよ。SDGsに繋がる取り組みを調べてみよう
- 壊れたコンテナは修理しているよ。一緒にコンテナリペアの現場を見学しよう
ONEの存在を世の中に伝えるために、あらゆるプロジェクトに密着する特別報道チーム。ONEのビジネスや、海運・環境を考える姿勢を伝えるべく、プロジェクトについて気になる「なぜ?」「なに?」を掘り下げていく。
効率よく運ぶために
環境にも配慮するために